ゴーシェ病Ⅲ型の唯ちゃんが載りました。
共同通信社と唯ちゃん、唯ちゃんのご家族に感謝しています。
●重病の子、居場所広がれ 家族に休息、宿泊も 東京・大阪で4月開所
重い病気で自宅療養する子どもと家族のための施設が4月、東京と大阪で相次ぎ開所する。短期で宿泊でき、遊びも可能な居場所。自宅で24時間介護をする家族にとって、休息や交流の機会にもなる。ただこうした施設は全国的にまだ整備が進んでおらず、運営には課題も残る。
「第2のわが家を目指す。ほかの子やボランティアと過ごし、笑いが生まれるよう支えたい」
国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)の賀藤均(かとう・ひとし)病院長(59)は、敷地内で4月オープンさせる「もみじの家」の狙いを語る。
定員は3人程度から始め、徐々に11人へ増やす。看護師が常駐し、1回7日間まで泊まれる。当初の利用は世田谷区在住で、センターを定期受診している子どもに限るが、間もなく地域制限は外し、約1年後には定期受診の条件もなくす予定だ。
1日の利用料は所得に応じ無料~約3千円。ほかに光熱水費や食費を実費負担する。家族で一緒に泊まることもでき、料理をする台所や、音楽室など遊びのスペースも用意。将来はホスピスのように、緩和ケアやみとりも可能としたい考えだ。
もみじの家を建てた背景には、医療の進歩で昔は助からなかった重い病気やけがの子どもでも、救命が可能になったことがある。その分、自宅で介護する家族は増えた。センターの推計では、在宅で人工呼吸器をつけるなど医療ケアが必要な子どもは全国に約1万~1万3千人。支援を手厚くする必要があった。
大阪市鶴見区では4月、寄付で建てた「TSURUMI こどもホスピス」が開所する。重い病気の子ども向けに宿泊や遊びの場を提供する予定で、5部屋を備える。
もみじの家のような医療型短期入所施設は全国47都道府県に382カ所(昨年4月時点)。地域差があり9県では3カ所以下だ。中には医療機関の空きベッドを活用するため、通常の患者がいれば受け入れないケースもあり、充実した体
制はとれていない。「施設が近くにない」「医療的ケアに対応してもらえない」として利用しない家族もいる。
●連日の「24時間看護師」 休息は介護の活力に
「ほぼ24時間365日、看護師の仕事を家でやっていると思ってもらえれば」。
東京都墨田区の小野寺綾(おのでら・あや)さん(42)は長女を家で見守る生活
をこう表現する。
長女の唯(ゆい)さん(15)は1歳で難病「ゴーシェ病」と診断。体の中で必要な酵素が働かず、臓器が腫れ、のみ込みに障害が出た。3歳の時、喉を詰まらせ心肺停止となり、一命は取り留めたが、以来寝たきりに。
唯さんの体内の酸素量を知らせるモニターの数値が悪化すれば、綾さんが鼻から送る酸素の濃度を調整し、気道を確保。たんが詰まらないよう吸引し、2~3時間おきに寝返りをさせる。1日5回、胃ろうを通じ薬を入れる。睡眠は細切れで、寝ても唯さんの体調が気になり熟睡はできない。常に睡眠不足だという。
綾さんは約3カ月に1度、唯さんを医療機関に5日間程度預け休息を取る。綾さんはこの短期入所が「体にも心にも大事で、介護の活力になる。もっと施設が増えてほしい」と話す。現状は少ない枠に予約が殺到するなど十分な定員ではない。
施設は資金面の課題も抱える。東京都世田谷区のもみじの家では、8億円弱の施設整備費は寄付で賄えた。だが今後の運営にも人件費などで年1億7千万円が必要。短期入所に対する自治体などからの支払いだけでは赤字で、6500万円を寄付で補う必要がある。
大阪市鶴見区の「TSURUMI こどもホスピス」は年間の運営費5千万円を寄付に頼る。運営する社団法人「こどものホスピスプロジェクト」の高場秀樹(たかば・ひでき)理事長(48)は「2年分の運営費は確保できた。3年目以降のめどを立てることが当面の課題だ」としている。