ゴーシェ病は治療法がある病気です!
ゴーシェ病は、非常に稀な病気で、その症状は個人差がありさまざまです。
ほかの病気でもみられる症状が多いことから、診断することが難しい病気であるといわれています。
しかし、放っておくと着実に進行する病気であることから、専門医による診断・治療を受けることが大切です。現在、酵素補充療法が国内外の医療の場で一般的な治療法として行われています。
酵素補充療法により、肝脾腫、貧血、血小板減少、骨痛・骨クリーゼなどの骨症状をうまくコントロールし、QOL(Quality Of
Life:生活の質)を維持・向上させることができます。
☆ゴーシェ病のすべての病型に対し保険適応です
治療方法は2週間に1度の点滴投与で、1回の投与時間は1時間~2時間となっています。
ゴーシェ病は、グルコセレブロシターゼという酵素の働きが悪いため
糖脂質であるグルコセレブロシドが分解されず細胞内に蓄積する結果、様々な症状の出る病気です。
酵素補充療法は、グルコセレブロシターゼを点滴により補充して蓄積しているグルコセレブロシドを分解・代謝する治療法です
酵素補充をすることで肝脾腫や貧血、血小板減少などの症状は改善されますが、神経症状に対する効果はあまり期待できません。
なお、神経型に対する酵素補充療法に関してヨーロッパゴーシェ研究グループが勧告治療ガイドラインを提唱しています。
現在、日本ではジェンザイム社の『セレザイム(商品名)』と
シャイアー社の『ビプリブ(商品名)』がゴーシェ病の酵素補充療法薬として認可されています。
詳しくは ↓ こちらをクリックしてください
☆ゴーシェ病のすべての病型に対し保険適用です。
骨髄移植は患者の骨髄液を正常な血液細胞の働きを持ったドナー(提供者)の骨髄液と置き換える治療法です。
肝脾腫や血液の改善だけでなく、
神経症状についてもその進行の停止あるいは改善が期待できますが、GVHD (graft
versus host disease)(※1)などの合併症などのリスクがあり、Ⅰ型に対してはERTが有効な為、実際に行われる症例は限定されています。
※1 graft versus host
disease 移植片対宿主病(GVHD)
臓器移植による合併症の一つ
移植した提供者の臓器にとっては臓器受給者の体は異物と認識し
臓器受給者の臓器を攻撃し、ひきおこされる症状の総称です。
グルコシルセラミド合成酵素を抑制することによって細胞内に蓄積するグルコセレブロシドの合成を抑制し
その結果、グルコセレブロシドの蓄積を抑える治療法です。
米国及び欧州連合 (EU)では2013年に新薬承認申請を行い、現在米国では承認されています。
国内では1型に対し治験が終了して。
基質合成抑制療法薬として 『サデルガ(商品名)』 が2015年5月に薬価収載されました。
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ゴーシェ病に対する初めての経口治療薬
「サデルガ®カプセル100mg」の製造販売承認取得について
ジェンザイム・ジャパン「サデルガ」についてのページは ↓ こちらをクリックしてください。
シャペロンとはフランス語で、介添人を意味します。
生物学では蛋白質が正常に形成される際に手助けをする別の蛋白質の意味として使われています。
ケミカルシャペロンは、変異した不安定な蛋白質にくっついてその蛋白質を安定化する化合物のことです。
神経症状に対する新しい治療法として現在、 『ムコソルバン(商品名)』 を用いたケミカルシャペロン療法の臨床研究を行っています。通常の30倍という大量投与で神経症状に効果があります。
効果は遺伝子型に規定されており、F213I ・N188S ・N370S ・G202R ・T369M の変異を持つゴーシェ病患者さんに使うことが出来ます。
『ムコソルバン(商品名)』 は一般的に去痰剤として処方される薬ですが、
ゴーシェ病に対しては認可されておりません。
☆患者会としては認可要望書を厚生労働省に届け、早期承認を目指していきます。
グルコセレブロシダーゼを脳に分布させるconvection-enhanced delivery(※2)がラットを使用した実験で成功するなど、新たな治療も開発されている。
(厚生労働省難治性疾患等政策研究事業ライソゾーム病に関する調査研究班より引用)
http://www.japan-lsd-mhlw.jp/lsd_doctors/gaucher.html
※2 convection-enhanced delivery (CED)
薬剤を持続陽圧で脳細胞の隙間に局所注入し高濃度で広範囲に薬剤を行きわたらせる新しい薬剤投与法です。
酵素補充療法など血液中に投与された薬剤は血液脳関門というバリアのようなところで、脳内への侵入を抑えられます。これが神経症状などに効果が得られない理由と考えられています。CEDは血液脳関門を通らないため効率的に脳へと薬を届ける事のできる画期的な技術です。
1型に関しては主に欧米諸国からその臨床経過や治療効果に関する多くの知見が報告されています。
それらの研究によればERTにより1型ゴーシェ病の予後は多くの症例において良好です。そして、骨髄移植(BMT)や基質合成阻害療法(SRT)についてもその有効性が報告されています。 一方、2、3型に対しては、現在の治療目標は神経症状の改善を得ることではなく、全身状態やQOL(クオリティー・オブ・ライフ:生活の質)の改善である。
【監修】 東京慈恵会医科大学附属病院 井田博幸教授
特定疾患治療研究事業
特定疾患治療研究事業は、難病患者の医療費の助成制度です。保険診療では治療費の自己負担分は3割相当(サラリーマンは3割)ですが、その自己負担分の一部を国と都道府県が公費負担として助成しています。
40年間、56疾病だった指定難病が財源を明確にすることで、平成27年1月に110疾病に拡大されました。さらに、平成27年7月から196疾病が追加され合計306疾病が指定難病として医療費助成の対象となります。
特定疾患治療研究事業の詳細は⇒難病情報センターHPへ
http://www.nanbyou.or.jp/entry/512
小児慢性特定疾病事業
小児慢性特定疾病情報センター
小児慢性特定疾病の患者さんの治療・療養生活の改善等に役立つ様々な情報を、わかりやすく情報提供する目的で構築されたポータルサイトです。
http://www.shouman.jp/
政府広報オンライン
http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201412/3.html
特定非営利活動法人 日本小児医療政策研究センター
http://japan-soc-shoni-iryoseisaku.jp/