『がんばれ!』156号に、ゴーシェ病Ⅱ型奏多くんの記事が掲載されました。
難病のこども支援全国ネットワーク様と奏多くん、奏多くんのご家族に感謝しています。
タイトル:在宅生活1年目を振り返って
呼吸器をつけた2歳の息子と共に生活するようになり1年になります。ゴーシェ病と診断された息子は、NICUでの1年7か月の入院を経て在宅に移行しました。日常的に吸引、CVカテーテル管理、経管栄養、排泄補助等のケアが必要です。
2週に1度酵素補充療法のために通院し、通院のない週は往診医(隣の市の総合病院で外来・病棟業務に従事する合間の往診)の診察や予防接種等を受けます。
また、週6日は訪問看護師さんと一緒に清拭をします。
この1年は慣れない24時間看護にあたふたしたり、入退院を繰り返したり、とにかく精一杯、本当にあっという間でした。
その中で特に困ったことは、息子の体調不良時に症状が出にくいため受診の判断が遅れてしまうことです。酸素化不良等緊急のときは迷わず病院へ、ということになりますが、バイタルの変化があまりなく私一人が何だかおかしいと感じる程度のときは、訪問看護師さんや病院に相談の上、家で様子見となります。病院側は『どうしても気になるなら連れてきて』と言ってくれるのですが、移動にかかる本人の負担が大きいため、もし異常が見つからず無駄足になるとかわいそうだとなかなか踏み切れません。悩みに悩み、病院へ連れて行くと血液検査の結果重度の敗血症を起こしていたことがありました。もし自宅で採血することができれば、1人で悩まず済み、息子を少しでも早く病院へ連れて行くことができるのにと思いました。
次に困ったのは毎日のケアに追われ息子との遊びになかなか手が回らないことです。県下には通所困難な患児のための訪問保育の制度はないのですが、SWさんに紹介してもらった子育て支援コーディネーターをしている保育士さんに相談したところ、ボランティアで月に1度1時間程度訪問保育をしてもらえることになりました。息子は表情や動きで感情を表現するのが苦手ですが、遊びの最中に息子の分泌物が増えた(持続吸引器の音が大きくなるのでわかる)のを見て、子ども達が笑うタイミングで反応しているよと教えてくださり、とても感動しました。また、私自身も息子と一緒に遊び笑うことで、子育てをしているのだという実感を持つことが出来ました。在宅生活がより楽しく豊かなものになるよう、訪問保育の制度化に期待したいです。
また、県下では小児の在宅をテーマにした講演等がほとんど開催されません。都市部では興味深いものが色々と開催されていますが、県外まで出かけるのは難しいので、今後もし都市部で開催される講演等にオンラインで参加できるようになれば情報を得やすくなり、つながりも広がるのではと思いました。
今後の課題は、持続可能な在宅生活へのシフトです。短くても太い人生をと在宅を決意し、がむしゃらに頑張ってきました。しかし大変嬉しいことに息子は予想を超え毎日成長してくれています。今のがむしゃらなペースで自分自身が倒れてしまわないよう、県下で昨年秋に始まった乳幼児レスパイト制度を利用するとともに更なる制度の拡充をお願いしたいです。
最後に、まだまだ制度的な課題が多い中で、本当に多くの方が知恵を絞り工夫をし、私たち家族を支えてくださっていることに感謝の気持ちでいっぱいです。
また、同じ境遇の先輩たちにどれほど助けていただいたかわかりません。なかなか直接会うことはできませんが、皆さんの言葉や思いやり、存在に大きな力をもらっています。これからもよろしくお願いします!